前回のラーメン店と脳卒中死亡の相関を見たのと同じタイプの研究に、二酸化炭素濃度と平均気温の関係を調べたものがあります。炭酸ガス濃度と地球温暖化の問題のもとになる研究です。この研究を「エコロジカルスタディー」と言えばわかりやすいでしょう。
「エコ=環境問題」という使われ方の起源は実はこのエコロジカルスタディーにあります。「生態学(エコロジー)」はもともと生物学の一分野で、「個々の生物の個体同士の関係」、「その個体が環境に与える影響」、逆に「環境が個体に与える影響」、さらにこの3者の関係を検討するものです。最近ではこれが人間と人間以外の生物、環境の2者の対立に限定されて「エコロジー」と呼ばれているように思われます。
この人間中心のエコロジーの定義は、地球を守ろうという目的とは、むしろ矛盾する面があります。
もともとの生態学において人間は特別な存在でなく、哺乳類の中の人類という個体の集団のひとつに過ぎません。
医療情報の正しい読み方