話題の焦点

野村克也夫妻は虚血性心不全で…注意すべき意外な“サイン”

野村克也さんの死因は妻の沙知代さんと同じだった
野村克也さんの死因は妻の沙知代さんと同じだった(C)日刊ゲンダイ

 11日に急逝した野球評論家の野村克也氏(享年84)。南海、ヤクルト、阪神、楽天で監督を歴任した“名将”の死因は、2017年12月に亡くなった沙知代夫人(同85)と同じ「虚血性心不全」だった。

 虚血性心不全は「狭心症」や「心筋梗塞」の総称で、“胸が急激に痛み出す”なんてイメージが強いが、実は意外と知られていない“サイン”があるから注意した方がいい。

 順天堂医院循環器内科科長の代田浩之医師は、日刊ゲンダイ本紙(19年10月30日付)でこう話していた。

「(心筋梗塞の痛みは)指で『ここ』とさせるような狭い範囲の痛みではなく、どちらかというと圧迫感、絞扼感(胸が締めつけられるような痛み)です。みぞおちが痛いと感じる人もいるかもしれません。放散痛といって、肩、首、歯など心筋梗塞とは思えぬ場所に痛みが出ることもあります。いずれにしろ、痛みが持続し、冷や汗が出てくるようなら、痛みの程度は強くなくても、救急車を呼んでください」 

 ポイントは、これまでに感じたことがないような痛みで、心筋梗塞のリスクファクターを抱えている人は、より注意した方がいい。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、家族に心筋梗塞の経験者がいる人で、過去に心筋梗塞を起こしたことがある人はなおさらだ。

 都内の病院に勤める専門医がこう明かす。

「肩こりとは無縁だった同僚の医師が突然『肩が痛いなあ』と言い出したので、まさかとは思いつつ、『心筋梗塞も疑った方がいいよ』とアドバイスしたんですが、本当に倒れてしまって……幸い命は取り留めましたが、医師ですら、それが“放散痛”というサインであると気づかないケースが結構あるんです」

 肩が痛い、歯が痛い。でも、いつもの痛みとは何か違う……そう感じたら、早め早めに対処することだ。

 前出の代田浩之医師はこうも指摘していた。

「統計にもよりますが、院外死における心筋梗塞の割合は、約50%とされています。しばらくすれば良くなるだろうと痛みを我慢する、心筋梗塞を連想しない、近所迷惑を考えて救急車を呼ばないなどの理由で、救急車を呼ぶタイミングが遅れてしまうのでしょう」

 当然ながら医療技術は日々進歩している。心筋梗塞も、救急搬送で助かるケースは増えている。ノムさんは84歳、沙知代夫人は85歳。もちろん加齢によるリスクもある。肩や歯の痛みなら「大丈夫だろう」と高をくくらないことだ。

関連記事