上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

花粉症対策を万全にして新型コロナと心臓疾患から身を守る

順天堂大学医学部付属順天堂医院の天野篤前院長(C)日刊ゲンダイ

 以前にもお話ししましたが、花粉症は心臓にも影響を及ぼします。海外では、「花粉症シーズンは心臓疾患の発作を起こすリスクが上昇する」という研究報告があります。花粉が飛散するシーズンは心臓発作による緊急処置の件数が平均5%アップ、中でも花粉飛散レベルがピークに達する5月は16%、6月は10%増加していました。詳細な要因ははっきりしていませんが、花粉によるアレルギー反応そのものではなく、花粉症の症状が心臓に負担を与えていると考えられます。

 花粉症による鼻水や鼻づまりで呼吸がしづらくなると、肺が十分な酸素を血液に取り込めなくなり、心臓から肺に流れる血流が制限されます。心臓は肺に十分な血液を送ろうとしてフル回転しなければならなくなり、負担が増えて不整脈が起こりやすくなります。

 ほかにも、花粉症によって免疫力が低下したり、症状にストレスを感じると交感神経が優位になる状態が続きます。人間は、交感神経が興奮すると心拍数が増加したり、血圧が上昇します。それだけ心臓にかかる負担が大きくなるのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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