上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓の手術を受けた後は「不整脈」に細心の注意を払う

順天堂大学医学部付属順天堂医院心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 厚労省の調査によると、日本では高血圧を除いた心臓疾患の患者数が173万人を超えていて、年間約6万人が心臓手術を受けています。高齢化がますます進み、心臓にトラブルを抱える人がそれだけ増えているのです。今後はますます心臓手術を受ける人が増えていくでしょう。

 心臓手術を受けてしっかり機能が回復すれば、手術前よりも心臓の状態が悪くなることなく天寿を全うできます。そのためには、術後の自己管理が大切です。

 かつては心臓手術を受けた患者さんは、1週間近く集中治療室で安静にするのが当たり前でした。しかし、近年はなるべく早くベッドから起きて歩くように指導されます。一般的には手術の翌日からベッドを離れ、2~3日で病棟内を歩き回るリハビリを開始するようになりました。体を動かさずにいる時間が長くなると、筋力、呼吸機能、体力が衰え、日常生活に戻るまでに時間がかかってしまうからです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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