緊急企画 新型コロナを正しく恐れる

回復率は約60% 重症者の最後の砦「ECMO」の仕組みと限界

重症の肺炎患者の治療に使われるECMO(エクモ)/(C)共同通信社

 しかも、すべての重症患者がECMOの適応になるわけではない。

「日本集中治療医学会など7学会、1研究会が先月24日に公表した『COVID―19 急性呼吸不全への人工呼吸とECMO基本的注意事項』によると、年齢が65~70歳以上は予後が悪いので、一般的には適応外となっています。また、末期がん、慢性心不全、慢性呼吸不全、その他、重度の慢性臓器不全の患者さんは予後が悪いので、適応には慎重さが求められます。また、人工呼吸器を7日間以上行った後にECMOを使っても予後が悪い、とされています」

 もちろん新型コロナウイルス感染症は重症化の速度が速く、タイミングを逸すると本来の効果が期待できない。そのタイミングを見極められる医師がいなければ、好成績を望めないのは言うまでもない。

 ECMOなどを使える専門スタッフを集めて集中治療センターをつくるなど、医療資源を効率的に使う体制を、早急に構築することが必要ではないか。

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