Dr.中川 がんサバイバーの知恵

池江璃花子の短髪が話題 男性も考えたい女性のがんの悩み

(池江璃花子のインスタグラムから)

 抗がん剤は、がんの原因になるようなDNAの複製や細胞分裂を抑える働きがあり、毛根や骨髄など細胞分裂が盛んな正常組織にも作用。副作用として脱毛や白血球の減少が生じやすいのはそのためです。

 池江さんは、造血幹細胞移植を受けています。今月9日に放送されたNHKスペシャルでは、免疫抑制剤などを1日20錠服用している様子が映されました。免疫抑制剤の服用から推察されるのは骨髄バンクを使用した可能性で、そうだとすれば一般に移植前に12シーベルトの全身照射を受けた可能性があります。その場合、卵巣への照射による影響で、将来の不妊症の可能性も問題になるでしょう。

 池江さんが全身照射を受けたかどうか分かりませんが、もしパートナーが同じ治療を受けたら、男性にとっても大きな問題でしょう。治療を受ける前に一緒にしっかりと話し合うことが大切になります。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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