Dr.中川 がんサバイバーの知恵

池江璃花子の短髪が話題 男性も考えたい女性のがんの悩み

(池江璃花子のインスタグラムから)

 先ほど抗がん剤は、細胞分裂が盛んな正常組織にも影響すると書きました。男性の精子もその典型で、抗がん剤で毒性が現れたり、数が急低下したりするため、男性不妊の原因に。日本がん・生殖医療学会のHPには、妊孕性について男女それぞれの説明が書かれていますから、がんで治療を受ける前には、パートナーと一緒にチェックするといいでしょう。

 その先には、セックスの問題もあります。たとえば、子宮頚がんで子宮と一緒にリンパ節を全摘すると、直腸や膀胱の排泄にかかわる神経が障害され、排便や排尿のトラブルを起こしやすいばかりか、膣の分泌物が減って潤いも不足しやすくなります。性交痛です。

 女性のがんの患者会では、性交痛にまつわる悩みが多く寄せられるそうで、そういうときに男性が無理強いすると、夫婦関係がギクシャクしかねません。

 男性も、女性に寄り添ってサポートすることが大切です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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