先ほど抗がん剤は、細胞分裂が盛んな正常組織にも影響すると書きました。男性の精子もその典型で、抗がん剤で毒性が現れたり、数が急低下したりするため、男性不妊の原因に。日本がん・生殖医療学会のHPには、妊孕性について男女それぞれの説明が書かれていますから、がんで治療を受ける前には、パートナーと一緒にチェックするといいでしょう。
その先には、セックスの問題もあります。たとえば、子宮頚がんで子宮と一緒にリンパ節を全摘すると、直腸や膀胱の排泄にかかわる神経が障害され、排便や排尿のトラブルを起こしやすいばかりか、膣の分泌物が減って潤いも不足しやすくなります。性交痛です。
女性のがんの患者会では、性交痛にまつわる悩みが多く寄せられるそうで、そういうときに男性が無理強いすると、夫婦関係がギクシャクしかねません。
男性も、女性に寄り添ってサポートすることが大切です。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵