医者も知らない医学の新常識

「低ナトリウム塩」は高血圧対策の切り札になるのか?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 最近、低ナトリウム塩という商品が販売されています。普通の塩と同じように料理に使用するものですが、ナトリウム50%カットなどと書かれています。塩というのは通常、塩化ナトリウムのことですから、それでナトリウムをカットするというのは、どういうことなのでしょうか? 

 この塩には実は塩化ナトリウム以外に、塩化カリウムが入っているのです。塩化カリウムも味は塩辛いので、普通の塩と同じように料理に使うことが出来るのです。ナトリウムが体に良くないのは、取り過ぎることで血圧を上昇させ、高血圧の原因となるからです。一方でカリウムはナトリウムを体外に排泄するような働きがあり、高血圧を予防するような効果があると考えられています。それでは、普通の塩を低ナトリウム塩にすることで、どのような健康効果が期待出来るでしょうか? 

 今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという一流の医学誌に、中国で低ナトリウム塩を導入した場合の健康効果を解析した論文が掲載されています。仮に全国的に低ナトリウム塩を導入すると、心筋梗塞や脳卒中などで死亡する人が約10%減少すると推測されました。カリウムは腎臓が悪いと危険があるので、全ての人におすすめは出来ませんが、高血圧は気になるものの薬は飲みたくないという人には、サプリメントより確実な方法かも知れません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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