個人競泳女子で、11種目の日本記録を持つ池江璃花子さんが昨年2月、「急性リンパ性白血病」と診断され、緊急入院しました。
10カ月間の入院治療を経て退院し、幸い、全快に向かっていると報じられています。この池江さんのニュースで、「白血病」に多くの関心が集まりました。
白血病は、白血球から生じる血液のがんですが、まず白血球とは何かについて説明しましょう。
白血球は骨髄の幹細胞から成長した細胞で、血液1マイクロリットル中、3500~9000個ほどあります。
では、どのような機能を持っているのでしょうか。体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの有害物質を細胞内に取り込む貪食作用があります。つまり、私たちの体を病気から守ってくれる重要な役割を果たしているのです。
血液中を流れながら、悪者を排除する警察官のような役割ですが、この白血球には大きく「顆粒球」「リンパ球」、それに「単球」などに分けることができます。寿命が約2~14日という「顆粒球」にはさらに形態によって「好中球」(好中性白血球)、「好酸球」「好塩基球」の3種類に分けることができます。
これらにはそれぞれ仕事の分担がありまして、血管壁や組織、脾臓、肝臓などにも、末梢血内に匹敵するほどに存在します。ピンク色の「好中球」(体内には数千億個!)を簡単に説明しますと、
①細菌に向かって遊走する。
②貪食する。
③殺菌する。
というステップを踏みます。
けがをしたときなど、傷口に発生する膿は、細菌との戦いで死んだ好中球の“死体”です。また「好酸球」は、色がブルーで赤橙色の大きな顆粒を持っているのが特徴で、寄生虫などの大きすぎて貪食できない異物を阻害する機能などを持っています。
暗紫色の顆粒を持つ「好塩基球」は、機能にまだ不明な部分がありますが、アレルギー反応を引き起こす作用があります。
ほか、血流を流れる「単球」は、末梢血中では、核にくびれを持つもっとも大きな細胞です。機能は“司令官”で、体内に外敵が侵入しますと、生体でさまざまな白血球細胞が協力して炎症反応(死んだ血液細胞や細菌の貪食、異物処理など)や免疫反応を起こします。その時の司令塔の役割を務めるのがこの「単球」です。
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