Dr.中川 がんサバイバーの知恵

斎藤洋介は検査で 咽頭がんを歯科医に見つけてもらうコツ

斉藤洋介さん(C)日刊ゲンダイ

 さらに術後に放射線治療を追加したことを加味すると、恐らく早期ではないでしょう。ステージ3か4だと思われます。そうだとすると、あくまでも推測ですが、腫瘍は分類上、少なくとも4センチを超えているか中咽頭周辺の舌やあごの筋肉などに広がっていたかもしれません。

 厚労省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」(2018年)によると、咽頭がんも含めて口腔がんを扱う口腔外科専門医は2157人。約10万2000人の歯科医の中で、専門医の数としては最多です。でも、その6割以上は病院に所属し、クリニックにいるのは947人。クリニックに勤務する歯科医のうちわずか1%ほどに過ぎません。

 その現状を考えると、自分にたまたま中咽頭がんができたとき、かかりつけ医の歯科医で見つけてもらう確率は極めて低い。歯科医でがんが見つかることは、あまりありません。そういえば、堀ちえみさんも、舌がんを口内炎と誤診されていました。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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