進化する糖尿病治療法

検診受診率が前年同時期比30%減で重大病見逃しのリスク増

定期的に健診を受けることが大事(C)PIXTA

 少し前の発表ですが、ニューヨーク・タイムズ紙の調査でニューヨーク周辺の病院や医療関係者が「心臓発作の患者が4~6割減った」と答えているのに対し、ニューヨーク市消防局のデータでは「心臓発作の救急搬送が前年の同時期と比べて4倍増加」。その理由のひとつとして、コロナ感染を恐れて既往症のある方が“受診控え”をしていることが挙げられています。

 相当重症になってから救急車を呼ぶため、病院にたどり着くまでに死亡するケースが激増しているというのです。

■特に年末年始は要注意

 私の専門分野においては、血糖コントロールが良くなっていた方が受診控えをしたり、HbA1cや血糖値が高めだった方が健診を受けないで過ごしてしまうことの弊害は大きい。前者であれば、血糖コントロールがまた悪くなれば、いい状態に再度持っていくのに時間がかかります。せっかく血糖コントロールを良くしていても、いったん悪くなり、その期間が長く続くと、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇してしまいます。今年は、特に年末年始は要注意と考えています。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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