進化する糖尿病治療法

血圧、血糖、血中脂質…3つともケアしている人はわずか1割

塩分、糖分、脂肪分すべてをケアすることは難しい

■狭心症、心筋梗塞のリスクが増加

 そのためには、まずは血糖、血圧、LDLコレステロール・中性脂肪の数値がどうなっているかを調べること! 「糖尿病で治療を受けているが、健康診断を長く受けていないので、ほかの数値がここ1年どうなっているか分からない」という人は、ぜひ主治医に相談してください。

 私が問題視しているのは、「ちょっとだけ数値が高い」人です。薬を飲むところまでいかないが、血糖値、血圧、LDLコレステロール・中性脂肪がいずれもちょっとだけ数値が高いと、病気だという自覚がないので、生活習慣改善がおろそかになりがちです。

 健康診断で「数値が高めですね。食事内容に気をつけ、運動習慣を身に付けてくださいね」と言われていても、記憶に残っていないのではないでしょうか。そのまま何も手を打たないで時が流れ、狭心症や急性心筋梗塞をある日突然起こして、搬送先で血糖値、血圧、LDLコレステロール・中性脂肪のいずれか、あるいはすべてが高いことを初めて自覚する……。一度、冠動脈疾患を発症すると再発リスクは高くなります。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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