独白 愉快な“病人”たち

白血病と闘う能楽師の武田文志さん「医学の進歩を知った」

観世流能楽師の武田文志さん(C)日刊ゲンダイ

 検査は金曜夜でしたから「結果は週明けに」と言われていたのですが、翌土曜の早朝に病院から電話があり、「白血球の数値がとんでもない。詳しくはお会いして話しますので、すぐ来られますか?」と言われ、「詳細な検査は血液内科がある総合病院でないとできないけど、そちらで即入院になるかもしれません」と告げられました。

 行くとすでに紹介状が完成していて、そのまま総合病院へ移動して、即入院となりました。

 私は能楽以外の知識がない人間です。白血病と言われてイメージしたのは、ひと昔前の悲劇の主人公でした。ただ、わりと冷静に考える性分なので、「今の医療における白血病の扱いはわからないから、まずは医師のお話を聞こう」と妙に落ち着いていました。

 総合病院で再検査後に説明されたのは、白血病には慢性と急性があり、おのおの骨髄性とリンパ性があり、ざっくり4つに大別されること。白血病は確定、ほぼ「慢性骨髄性」で間違いないが、正式には週明けの骨髄検査で確定とのこと。慢性骨髄性白血病には数種類の特効薬があること。そして、何かの理由でその薬が飲めない場合は別にして、薬が飲めれば通院でも治療できることも聞き、医学の進歩を知りました。なので通院という選択肢もありましたが、「そんなことを言っている場合ではない」と思い、入院を即決したのです。

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