がんと向き合い生きていく

医師のちょっとしたひと言が気になる胃がん患者の胸の内

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 運送会社で企画部長を務めているDさん(57歳・男性)は、胃がんの手術を受けて2年になります。胃は出口の方(幽門部)の3分の2を切除しました。

 Dさんは2カ月ごとに定期検診を受けていますが、いつも診察が終わると医師のちょっとした呟きが気になります。

 昨年秋の診察では、担当医から「手術して2年になりますね。次回は腹部CT検査をやりましょう。そこで何もなければ再発する可能性はすごく減ります」と言われ、年末に腹部CT検査を行いました。

 その結果の説明を受けた際、担当医から「CTでお腹の中のリンパ節が少し気になりますが、きっと大丈夫でしょう」と言われました。

 Dさんはホッとして、次回2カ月後の検診の予約をして、診察を終えました。しかし、担当医が漏らした言葉がどうしても心に引っかかりました。

「『お腹のリンパ節が少し気になる』とは、なんだろうか? きっと大丈夫でしょうと言っていたけど……」

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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