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へそのゴマの正体は?掃除して取ってもいいのでしょうか

消化器外科医の石黒成治氏(提供写真)

 お腹の真ん中にあるへそは、臍帯(=へその緒)が取れた痕です。へその緒は、胎児が母親から栄養や酸素を供給してもらうための血管で、出産と同時に役割を失います。へその緒が切られるとその部分は穴が開いた状態になりますから、くぼみとして残ります。底が見えるほど浅いくぼみ、そして深いくぼみ、またはくぼみきらない「デベソ」と呼ばれる形状があります。いずれも個人差があり、切ったときの状況によるので、ある意味形状は“生まれつき”といえます。

 へそのゴマは、このくぼみにたまったアカ、皮膚や皮脂の分泌物です。へそは意識して洗う人が少ないので、長年にわたってたまりがち。そのゴマに雑菌が混じると強烈な異臭を放ちます。

 私たち外科医は、腹部の手術前には必ずへそのゴマの処置をします。ゴマがたまった状態でメスを入れると手術創(手術後の傷)が感染するリスクがあるからです。とくに高齢者の方の処置をすると、数十年分のパチンコ玉のようなゴマが出てくるケースがあります。もちろん、医学的に「へそのゴマは取ってはいけない」と言われるのは迷信で、基本的にはへそを掃除しても問題はありません。

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