コロナ第4波に備える最新知識

新型コロナワクチン接種後に感染「魔の2週間」説は本当か

ワクチンを打てば全て丸く収まるわけではない
ワクチンを打てば全て丸く収まるわけではない(C)ロイター

 ワクチンを打っている国でなぜ、新規感染者数は増えているのか? とくに短期間に集中接種した国では2週間以内の感染者増が目立ち、ネット上では「魔の2週間」などと呼ばれている。なぜそんな現象が起きるのか?

 先月31日だけで約6万人の新規感染者を記録し、3回目の全国的なロックダウンを宣言したフランス。昨年12月27日からファイザー製ワクチンを打ち始めたが、ワクチンへの不信感が強い同国では接種は遅れていた。ところが、3月19日にパリを含む一部地域に外出制限が出されるとわかるとワクチン接種者が急増、3月20日には約64・5万人が接種。それまでの1日接種者数の最高だった3月17日の37・5万人をあっさり抜いた。

 新規感染者はその4日後の3月24日に第3波最大の6・4万人を記録し、以降高止まりとなっている。

 ハンガリーでは2月27日の1日の新規接種者数が前日の4・6万人から12万人に増加した。その後も接種者数は増え続けているが、新規感染者数は2月27日の4948人が3月6日に7269人、3月26日には1万1265人と増えている。

 2月3日から本格的なワクチン接種が始まったチリは、同日2610人だった1日の新規感染者数が2月6日に4063人となり、3月25日に7060人に達した。

 他にも接種以降、一時的に新規感染者数が増えた国は複数ある。

 その原因は明らかではないが、考えられることは①たまたま感染者が増える時期にワクチン接種が行われた②密になりやすい接種会場で感染した③温度管理の難しいワクチンなので接種環境によっては効果が得られなかった④接種技術が良くなかった⑤そもそもワクチンに期待したほどの効果がなかった⑥ワクチンにより感染者増に拍車がかかった、などだ。

■カリフォルニア大の研究でも同様の傾向

 そんな中、世界5大医学雑誌のひとつ「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に新型コロナワクチンについての興味深い論文が掲載された。「カリフォルニアの医療従事者におけるワクチン接種後の新型コロナウイルス感染」と題した論文で、昨年12月16日~今年2月9日に新型コロナワクチンを接種したカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)とロサンゼルス校(UCLA)の医療従事者を対象にしたもの。1回目のワクチン接種者は3万6659人で、そのうち77%に当たる2万8184人が2回目のワクチンも受けた。

 接種から1日以上たってから受けた新型コロナウイルスの検査で陽性と判定されたのは379人。その大多数(71%)が最初の投与から2週間以内だった。また、ワクチンを2回接種した人のうち陽性だったのは37人。内訳は2回目の投与から1~7日に陽性だったのは22人、8~14日で8人、15日以上で7人だった。

 論文ではワクチン接種後に新型コロナウイルスが陽性となる絶対リスクは、UCSDで1・19%、UCLAで0・97%としている。これらの率は、モデルナ製のワクチンおよびファイザー製ワクチンの試験で報告されたリスクよりも高くなっていたという。

 医療水準が高く、感染防御力が強い米国大学の医療従事者向け接種でも100人に1人は接種後2週間以内では感染リスクがあり、人に感染させるリスクがあるということだ。ワクチンを打てば即宴会も旅行もOKなんて思ったら大間違いだ。

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