最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

ペットがいるから「もっと生きたい」と療養生活を頑張れる

在宅医療ならペットと一緒に生活できる

 在宅医療を開始した頃は、抗がん剤による嘔吐や発熱があり、日々の生活が非常につらそうで、周囲は病院の緩和ケア病棟への入院を勧めました。でも、ご本人は自宅で過ごすことに一抹の不安を抱きながらも、最終的には「できるだけ最後まで愛猫2匹と自宅で過ごす」と決意したのです。自分で立てないほどひどいだるさや吐き気があっても、女性は事あるごとに「入院になったら猫を預けないといけないから、猫がいるから頑張らないとって思います。お互い支え合っていますから」と口にしました。猫が患者さんの心の支えになっている。猫と一緒に生きている。だから決して孤独な在宅医療ではない……。そんな思いが、ひしひしと伝わってきました。

 2年に及ぶ闘病生活の末に旅立っていきましたが、最後の2週間は妹さんも泊まって猫の世話をしながら、姉妹2人と猫2匹の時間を過ごされました。

 そして残された猫たちは、当初は馴染みとなった看護師が引き取ろうとしたのですが、すでに2匹の猫と犬を飼っていたので断念。代わりに妹さんが里親を探すこととなったそうです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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