最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

患者の旅立ち後、残された家族にとってもペットが心の支えに

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 前回、「ペットと一緒に療養生活を送れるのも在宅医療ならでは。ペットが患者さんの心の支えになっている」といった話を紹介しました。

 最近亡くなった患者さんのカルテに、奥さまのこんな言葉が記されていました。それは、「猫はね、やっぱり分かっているのかな。いつも主人がいた椅子に座らないですね」というもの。

 患者さんが旅立っていった後、残されたご家族の抱える喪失感の大きさは計り知れないものがあります。

 ただ、もしそこに患者さんに常に寄り添い、一緒に過ごしてきた喪失感を共有できるペットがいたなら、ご家族の方にとっては大きな救いになるのではないかと思うのです。

 91歳の男性で奥さまと2人暮らしの患者さんがいました。寒い季節になると、猫を抱っこして床に就くのが日課というほどに、日常生活に猫が潤いと温かさを与えていました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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