がんと向き合い生きていく

コロナ禍の巣ごもりで同居人からの受動喫煙が増えている

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルスの感染は人の移動で増加します。緊急事態宣言、まん延防止等重点措置を延々と繰り返し、不要不急の外出をしないように、3密を避けるように、そして自宅でのテレワークが推進されても、毎日のコロナ感染者数や死亡者数が増えています。

 国民は“外”ではお酒を飲めず、自粛、自粛……。しかし、一方では政治家による資金集めのパーティーがあったり、延期か中止の意見が多かった東京五輪が開催されました。批判を浴びた政府は起死回生のためにワクチン、ワクチンと言ってきましたが、ここへきてそれが足りない? その在庫管理すらできていないことに、また腹が立ち、ストレスになって、国民のイライラは頂点に達しています。

 そんなイライラは、同居者の受動喫煙が増えたことにも表れています。今年5月、国立がん研究センターは、「たばこを吸う同居人からの受動喫煙が増えた」と答えた人が33・7%にも上ったとする調査結果を発表しました。受動喫煙とは、たばこを吸う人ではなく、その周りの人がたばこの煙を吸い込むことをいいます。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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