しかし、血液検査ではBNPの数値が高かった。BNPとは「脳性(B型)ナトリウム利尿ペプチド」と呼ばれるホルモンで、血圧の上昇など心臓にストレスがかかると、それを和らげるために心室から分泌されます。つまり、BNPが高ければそれだけ心臓に負担がかかっている証しです。念のためCT検査をしてみたところ、上行大動脈が太くなっていることもわかりました。
血圧が高くなければ、BNPが高くなったり上行大動脈が太くなることはまずありません。そこであらためて血圧を計測してみると、「上150/下90」でした。その患者さんは、緊張や興奮などによって血圧が上昇するタイプだったのです。
こうしたタイプの人は、思わぬきっかけでいきなり心臓トラブルを起こすリスクが高いといえます。ワクチン接種がそのきっかけになってしまう可能性もないとはいえません。新型コロナウイルスから身を守るワクチン接種には、今までの生活習慣病とその自己管理の再点検がセットになっていると考えるべきです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」