独白 愉快な“病人”たち

死ぬときはがんが最適…医師の石蔵文信さん全身がんを語る

石蔵文信さん(提供写真)

■孫の世話と終活とスポーツで忙しい

 死がまったく怖くないわけではありませんが、僕はがんになる前から「死ぬときはがんが最適」と考えていました。がんは、人生の終わりまでのプランニングがある程度できるからです。そもそも長生きは絶対にイヤで、70歳ぐらいで死ねるのが理想だと思っていました。あと2、3年先だとすれば68、69歳までなので、まあいい感じかなと思っているんですよ。

 長生きがイヤな理由は認知症になって人格崩壊した姿をさらしたくないからです。今はこうして取材を受けても普通の話ができますけれど、そのうちはた迷惑なことを言い出すんです。実際、そういう例をたくさん見てきたからわかるのです。いろんなものがおっくうになって、認知機能も低下して、終活もまともにできなくなりますから。

 だから今、僕はどんどん終活しています。物は捨てているし、遺品整理リストも作っています。なにしろ物が多いから、後片付けの負担を軽くしないと家族が大変ですからね。あと、今診ている患者さんの紹介状も書き始めています。

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