心臓手術の名医が語るコロナ禍の治療最前線

ロボット心臓手術は何が凄い? 体だけでなくフトコロにも優しい

ニューハート・ワタナベ国際病院総長の渡辺剛氏(提供写真)

 実際、50代の女性は別の病院で開胸手術を宣告され、胸に大きな傷跡が出来ると夏に胸の開いたシャツが着られなくなると落ち込み、手術をためらったという。その後、ロボット心臓手術の存在を知り、積極的に手術を受け、元通りの生活を続けている。

 心臓の代表的な病気には、「不整脈」(上室性、心室性、徐脈性)、「虚血性心疾患」(冠動脈が狭窄する狭心症、閉塞する心筋梗塞)、「心臓弁膜症」、「心膜疾患」、「心筋疾患」、「心不全」などがある。ダビンチ手術はこの中の僧帽弁、三尖弁、大動脈弁の形成術や弁置換術、狭心症に対する冠動脈バイパス術、心臓腫瘍切除術、心房細動に対するMAZE(メイズ)手術や左心耳閉鎖術などを対象としている。

■検査から退院まで3~7日間のパターンが多い

 ロボット手術は、その中でも僧帽弁閉鎖不全症や三尖弁閉鎖不全症に対する弁形成術が保険診療上で認められている。15歳くらいから対応可能だという。

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渡辺剛

渡辺剛

1958年東京生まれ、ニューハート・ワタナベ国際病院総長。日本ロボット外科学会理事長、心臓血管外科医、ロボット外科医、心臓血管外科学者、心臓血管外科専門医、日本胸部外科学会指導医など。1984年金沢大学医学部卒業、ドイツ・ハノーファー医科大学心臓血管外科留学中に32歳で日本人最年少の心臓移植手術を執刀。1993年日本で始めて人工心肺を用いないOff-pump CABG(OPCAB)に成功。2000年に41歳で金沢大学外科学第一講座教授、2005年日本人として初めてのロボット心臓手術に成功、東京医科大学心臓外科 教授(兼任)、2011年国際医療福祉大学客員教授、2013年帝京大学客員教授。

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