進化する糖尿病治療法

糖尿病の治療薬そのものが認知症対策に役立つ可能性あり

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病の合併症のひとつに認知症があります。糖尿病の人は、そうでない人と比べてアルツハイマー型認知症に約1.5倍なりやすく、脳梗塞や脳出血など脳の血管障害で起こる脳血管性認知症に約2.5倍なりやすいという報告があります。

 また、糖尿病で低血糖を起こすと、認知症のリスクが高くなるといわれています。糖尿病の人が認知症になると、薬の飲み忘れ、食事内容の偏り、運動量減少などが起こりやすく、糖尿病の悪化を招くことにもなります。

 ですから、認知症対策のためにも、早い段階から糖尿病治療に取り組んでほしいのですが、一方で、糖尿病の薬そのものが認知症対策に役立つのではないかという研究結果も発表されています。

 韓国の延世大学校医科大学はDPP-4阻害薬に関する研究を実施。DPP-4阻害薬は、食後の血糖値が上昇しそうになった時だけインスリンの分泌を促進させる薬で、単剤使用で低血糖が起こりにくく、体重増加も起こりにくいという利点があります。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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