みんなの眼科教室 教えて清澤先生

視力も視野も正常なのに…「眼が開けられなくなる」目の病気

写真はイメージ(C)PIXTA

 また、ストレスは眼瞼痙攣や片側顔面痙攣を悪化させます。家族や友人からのサポートも重要です。ドライアイの合併が多いので、涙液分泌の不足例には涙点プラグを合わせて使う場合もあります。

 「ボツリヌス毒素」という言葉を聞いて、使いたくないという患者さんもいます。あるいは他の診療所でボトックスを使われた経験があり、その結果が不満でもう使いたくないというケースもあります。しかし、十分な聞き取りの上で、適量を適所に慣れた手技で用いれば、ボトックスは相当良好な結果が期待できます。治療を受けた患者さんの約2割が施注直後には不満をいいますが、2~3カ月後に不満を述べた患者さんの半数が再注射を希望しますから、ボトックスの有効例は9割ということになります。眼瞼下垂、かすみ目や複視、目の乾燥などの副作用が発生する場合もありますが、副作用は通常一時的です。

 「眼瞼けいれん、片側顔面けいれん友の会」という組織があり、多数の会員が集まって年に数回の集会を行っています。この疾患に悩んでいる方は入会をお勧めします。また、「眼と心の健康相談室」でも、有料ですが眼瞼痙攣についての電話相談に応じてもらえます。

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清澤源弘

清澤源弘

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

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