日本のエイズ患者は見えなくなった コロナ禍で保健所検査が51.5%減

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■新たなHIV予防薬の効果は?

 新規エイズ患者は、13年の484人をピークに下落傾向にある。新規HIV感染者1106人を含めたこの年の数は1590人だが、19年には新規エイズ患者333人、新規HIV感染者903人の計1236人となった。

 では、新型コロナに揺れた20年はどうか。新規エイズ患者345人、新規HIV感染者750人、計1095人とやはり減っている。

 それなのに何が問題なのか?

「その数字は、それまでエイズの早期発見に寄与してきた保健所が新型コロナによる業務逼迫によってHIV検査の受け付けの縮小・中止に追い込まれたうえでのものだからです。HIV検査は20年には6万8998件と前年の14万2260件の51.5%減となりました。にもかかわらず、保健所などで発見された新規HIV感染者290人で、19年の437人より約34%しか減っていません。逆に、いきなりエイズ発症を宣告される新規エイズ患者は345人と前年を上回った。つまり、新型コロナが流行して以降、HIV感染に気づかずに性交渉に励む人が増えたと考えられ、日本のHIV感染リスクは高まっているのです」

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