近年、東洋医学の有効性に関する研究がますます進み、国際的な評価が高まっています。約120年の歴史がある国際疾病分類(ICD)は2018年、約30年ぶりに改訂されましたが、その第11回改訂版(ICD-11)は東洋医学の項目がはじめて入りました。
古代中国に発した伝統医学は、主に「中医学」の中国、「韓医学」の韓国、そして「漢方(鍼灸も含む伝統医学)」の日本の3カ国においてそれぞれ独自の発展を遂げてきました。
中でも日本の「漢方」は約1500年にわたって途絶えることなく、現代もなお人々に受け入れられ続けています。その大きな特徴は、伝統に固執せず、時代に応じて日本人に適したものとして柔軟に変化発展してきたことと言えるでしょう。
たとえば日本で発明された鍼灸の道具、鍼管。この鍼管に、はりをセットすることで痛みが出にくくなります。鍼灸のルーツは中国にありますが、中国式では鍼管を使いません。
鍼管を用いた日本式の鍼灸は「痛くないはり」としていまや世界で広く用いられています。
ほかにも日本で発展したものとして、痛みを伴わない軽刺激によるはり治療や、ごく軽微な刺激による小児へのはり治療、腹部各所に触れて痛みなどに応じて処方を検討する「腹診法」といった診断法もあります。
日本では、西洋医学が主流となっている現在においても、西洋医学の知識と実践経験を持つ医師が、政府の認めた保険制度に基づき高度先進医療の現場などで漢方を併用していますし、その品質管理や安全性に関しても非常に高いレベルを保っています。
古代中国に起源を持ちながら、その都度新しい工夫や発想が加味され、独自の発展を遂げてきた日本の「漢方」は、今後もますます世界における東洋医学の発展において重要な役割を担っていくものと考えられます。
東洋医学を正しく知って不調改善