役に立つオモシロ医学論文

うつ症状のある人はコロナワクチンのデマ情報を信用しやすい?

新型コロナウイルスのワクチン接種について抗議する人たち(C)ロイター

 新型コロナウイルスに関する根拠のない偽情報が、人の生活や社会にどのような影響をもたらすのかについて、さまざまな研究が行われてきました。いわゆるデマ情報や陰謀論の多くは感染リスクに対する人々の関心を低下させ、感染対策に関連した行動を抑制し、ワクチンの接種率を低下させる可能性が報告されています。

 コロナ禍においてはまた、抑うつ症状(うつ病)を患う人も増加したことが知られています。社会環境の急激な変化が、その一因かもしれません。抑うつ症状が出ている間は物事を否定的にとらえがちです。心理的に安定していれば気にも留めない偽情報も、抑うつ状態では容易に信じてしまうかもしれません。

 そんな中、新型コロナウイルスワクチンに関する偽情報への態度と、抑うつ症状の関連を検討した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナル誌に2022年1月4日付で掲載されました。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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