科学が証明!ストレス解消法

「ラジオ体操→ジョギング→入浴」は最強モーニングルーティン

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 一時期、芸能人をはじめ、さまざな方が「モーニングルーティン」(朝の習慣)の動画を公開し、人気を集めました。朝は、頭の働きが鈍くなるもの。自分に合った習慣を取り入れたいという思いから、多くの人がモーニングルーティンに関心を抱いたのも納得ではないでしょうか。

 そこで、私からも科学的なエビデンスに基づいたモーニングルーティンを伝授したいと思います。

 脳が働くために必要なのは糖分と酸素。ですから食事で糖分を確保しつつ、運動で心拍数を上げ、酸素の乗った血液を脳にドンドン送り込むことが効果的です。

 その実践法として、運動が◎。山口大学の佐々木と塩田が行った実験(2016年)では、被験者にまずラジオ体操を、続いてボールのドリブルやジョギングをしてもらい心拍数を120~140拍/分に高め、その後、計算をしてもらいました。すると、解答数と正答数が向上。つまり、運動してから作業をした方が、頭がよく働いている状態で作業できたのです。

 ラジオ体操で頭と体をほぐしたら、定番ではありますが、ジョギングがおすすめです。嫌なことやストレスがたまっているときは、ジョギングをすると気持ちが向上していくことが判明しています。

 米ハーバード大学のバーンスタインとマックナリーは、うつなどを含めた感情のコントロールにはジョギングが有効だと述べています。彼らの研究(17年)では、被験者を「ジョギングを行うグループ」と「ストレッチを行うグループ」に分け、それぞれ30分ほど行ってもらった後、涙を誘う映画を観賞してもらいました。

 結果としては、映画を見て悲しい気持ちになるのはどちらのグループも変わりはありませんでしたが、その後のリカバリーはジョギングをしたチームの方が顕著に速かったのです。

 しかも1週間続けると、最後の運動から72時間以上、1週間までは効果が持続。気分が落ち込みそうになったら、ジョギングをする。継続すれば自律神経の調節機能も改善されて、元気な体質になっていきます。

 運動してひと汗かいたら、お風呂に入るのも効果的です。千葉大学のリーらの研究(12年)では、10分間ほど40度のお風呂に入る、シャワーを浴びる、ミストサウナに入るという具合に、入浴後に課題をさせる実験を、朝7時から数時間ごとに行いました。

 すると、体の疲労回復にはお風呂やミストサウナが、シャワーよりも効果的だとわかりました。課題の正答数については、午前10時ごろからのお風呂とシャワーの場合に高くなったといいます。そして、お風呂やミストサウナには注意力や判断力の向上も期待できる。お風呂に入るとその後、疲れにくくなることも示されたそうです。

 朝起きたら、ラジオ体操からのジョギング。さらに、40度のお風呂に10分間入る。これこそ低コストの最強モーニングルーティンと言えるでしょう。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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