進化する糖尿病治療法

糖質の取りすぎよりも問題なのは、運動不足と脂肪多めの食事

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 つまり、糖尿病のリスクを上げるのは糖質ではなく、食の欧米化、そして運動不足にあるということです。ご飯やパンをたくさん食べているからといって、それだけでは糖尿病にはなりません(ただし、チャーハンとラーメンのセットのような「糖質+糖質」といった組み合わせを日常的に食べるのはNGです)。

 糖尿病の人やダイエット中の人には糖質制限を実践する人が多くいますが、私は糖質制限は勧めていません。これまで日常的に糖質を取っていた人が急に糖質をやめると、短期間なら継続できますが、長く続きません。ストレスになり、やがて「痩せたから、もう糖質を取っていい」などとドカ食いをしてしまう可能性もあります。

 ご飯など主食を取らない代わりにおかずを多く取るようになると、脂肪摂取量が増えますし、塩分の過剰摂取にもつながります。

 そもそも、糖質制限は糖尿病の根本的な問題解決になりません。糖質を取らなければ血糖値は上がりにくくなりますが、それはモグラ叩きのようなもの。糖尿病に至らせた生活習慣が改善されていないので、次のモグラが現れます。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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