認知症を予防する補聴器のすべて

補聴器はまずレンタルして比較検討し、納得してから買う

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 日頃、補聴器を販売する中で、世代によってもずいぶんとその消費行動に違いがあることに気付かされます。

 ご存じの通り各世代にはそれぞれ象徴的な名前が付けられています。バブル世代、団塊の世代、さとり世代……。最近はテレビや新聞で「Z世代」なんて目にするようになりました。

 一方で、お客さまに多い加齢性難聴を患う高齢者の方々はといえば、シニア世代とひとくくりにされがちですが、これが実にさまざま。

 例えば75歳以上だと、補聴器のスペックや聞こえ具合などの比較をあまりせず、こちらが提案したものをいったんは受け入れてくださいますが、しかし合わなければすぐに検討自体をやめてしまうケースが少なからずあります。

 75歳以下では、いろいろなメーカーや機種、機能を比較検討した上で、ここは良いけどこれは気に入らないから、この点をクリアする機種はないか?──など、具体的なリクエストをいただけることが珍しくありません。そのためお客さまに合う補聴器を一緒に探せますし、最終的には満足して購入していただいています。

 なぜそのようになるのかと考えた場合、私が仮説として持っているのは、ダイエーやイトーヨーカドーなどの総合スーパーの出店により、消費スタイルが変化したからではないかということです。

 1960年代ごろから大量生産・大量消費の時代が始まり、それまでの「近くの商店であるものを買う」という消費スタイルから、「多くの商品陳列棚から比較検討して購入する」というふうに変わっていきました。それが75歳前後を境に分かれる検討スタイルの差かもしれない、と漠然と感じています。

 75歳以上のお客さまでは、「レンタルして比較検討して、納得してから買ってくださいね」とお伝えしても「悪いから」と遠慮し、諦めてしまう人も多いのです。

 でも補聴器にはその遠慮は禁物です。どうぞ遠慮しないで、あなたに合う補聴器をいろいろ試してみてください。

田中智子

田中智子

シーメンスの補聴器部門でマーケティングの勤務を経て、2020年補聴器販売会社「うぐいすヘルスケア株式会社」設立。認定補聴器技能者資格保持。

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