健康長寿に役立つ高齢薬膳

【ホタテ】皮膚と関係が深い「肺」を強化して肌に潤いを与える

ホタテと豆腐の潤いレンジ蒸し
ホタテと豆腐の潤いレンジ蒸し(提供写真)

 年齢を重ねると肌もデリケートになるもの。特に「乾燥」に悩まされていませんか?

 皮膚は表皮、真皮、その下にある皮下組織によって成り立っています。表皮の最も外側にある角質層は肌の水分を保つためのバリアー機能と、肌の潤いを正常に調整する保湿因子を備えています。

 ところが、老化によって皮脂の分泌量が減るとバリアー機能が損なわれ、水分含有量が減り、保湿因子も衰えて皮膚が乾燥しやすくなります。そのため、皮膚がカサついたり、白く粉をふいたりしがちになるのです。

 さらに悪化すると、ひび割れて痛んだり、外部からの刺激を受けやすくなることでかゆみを生じる「老人性乾皮症」を引き起こす場合もあります。かいてしまうと、いよいよ皮膚のバリアー機能は低下し、湿疹やただれを起こすという悪循環が起きやすくなります。

 命に関わる問題ではありませんが、生活の質を落とし、見た目も気になるもの。外からの保湿だけではなく、体の中から潤いをチャージすることも心掛けましょう。

 中医学において皮膚の要となるのが「肺」と呼ばれる臓器です。肺は呼吸器をつかさどる一方、皮膚との関連が深く、肌に潤いや弾力を与えたり、その表面をガードする臓器と考えます。そのため、肺の働きが衰え、乾燥すると皮膚も乾燥して、トラブルが表れます。ですから、肺に潤いを与える食材を取り入れることが大切です。

 おすすめはホタテ。体に必要な水分を与えて、その量を維持するパワーがあります。さらに、老化に関わりの深い腎にも作用するため、老化による皮膚の衰えをサポートする働きもあるのです。また、滋養強壮にも優れ、胃の働きをアップする効果があり、食欲不振や消化不良にもおすすめです。そのほか視力回復、めまい、のぼせの改善などにも役立ちます。ホタテの調理が面倒なときは、ホタテ缶を使えば手軽に体によく、缶汁のうまみでおいしい料理を作ることが可能です。

 コンビニなどで販売されているホタテ貝柱も味噌汁やスープに入れればおいしい出汁が出るので、常備して活用してみましょう。

 皮膚に潤いを与えるホタテの効果を高めるために組み合わせたいのが「白い食材」です。肺に潤いを与える働きがあります。ナガイモ、大根、豆腐、豆乳、牛乳、白ごま、松の実などと合わせて調理するのがおすすめです。

■ホタテと豆腐の潤いレンジ蒸し

 肌に水分を与えて乾燥を改善するホタテと、同様の効能を持つ豆腐、白ごま、松の実を組み合わせたレシピ。ホタテ缶と豆腐を混ぜてレンジで加熱するだけで完成します。ホタテのうまみが染み込んだ豆腐が上品な味わいです。

【材料】2人分
●木綿豆腐  1丁
●ホタテ缶(小)  1缶
●昆布茶  小さじ2分の1
●白すりごま・松の実・刻みねぎ  適量

【作り方】
 耐熱皿に豆腐、ホタテ缶を汁ごと入れて、昆布茶も加え、スプーンなどでざっくりと混ぜ合わせる。ラップをかけて5分加熱して器に盛り、白すりごまを振って、松の実と刻みねぎを散らす。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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