科学が証明!ストレス解消法

「見た目が重要」であることは科学でも証明されている

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 外見より内面が大事──。もちろん、その通りだと思うのですが、だからといって外見に気を使わないのは大間違いです。

 実は、顔の魅力とその人の内面の印象との間には、密接なつながりがあるといわれています。英語では「beauty is good(美は良)」といわれているほどで、「容姿の良い人は内面も優れている」と感じてしまうほど、ステレオタイプの認知過程として名高いのです。

 たとえば、方針やマニフェストを知らずに、人相の良い立候補者と人相の悪い立候補者がいた場合、多くの人が前者を支持するという行動は、典型的な「beauty is good」。これを裏付ける実験が、心理学者のウォルスターが行った「コンピューターダンス」(コンピューターデートとも)の実験(1966年)です。

 彼は、ダンスパーティーに参加した初対面の新入大学生376人に対して、「コンピューターであなたに適切な人を選ぶ」と伝え、男女をランダムに組み合わせてダンスのためのペアをつくり出しました。さまざまな身体的特徴を持つ男女が参加し、新入生たちはパーティーのチケットを買う際に性格検査などを含むアンケートに答え、自分が好きなタイプについても回答してもらいました。

 そして、パーティー終了後に相手への好意を確認したところ、男女ともアンケートで事前に回答したものとは関係なく、年齢、人種、性格、成績などの要素よりも身体的魅力が高い人に好意を感じていることが判明したのです。つまり、シンプルにカッコイイ人、キレイな人に好意を示したのです。

「結局は外見かよ」と、なんだか寂しい気持ちになりますが、それだけ容姿は大切と、実験結果は示しています。

 ただし、容姿といっても清潔感や態度こそが重要です。初対面におけるファーストインプレッションは、あなたの印象の9割を決めるといわれているほどですから、コンピューターダンスの実験を含め、“見た目”の力を侮ってはいけません。

 テキサス大学のイックスらが行った実験(1993年)も、とても興味深いです。彼は、初対面の男女のペアをつくった際に、その様子と相手への好意はどういった関係性があるのかを検証しました。まず6分間の会話をしてもらい、その様子をビデオで撮影する。その後に、男女それぞれがビデオを見ながら、そのときの相手の考えていることを読み取るという内容でした。

 その結果、相手に対する好意が強い人ほど相手の心を読み取れたのです。「好意を持つ相手だからこそ、相手に対する考察や思慮深さが増した」とイックスが言うように、好意を持っているからこそ熱心に耳を傾け、話ができるというわけです。

 相手を好きになれば好きになるほど、相手の気持ちも考えるようになる。“恋は盲目”と言いますが、意外やきちんと見えている。だからこそ、ときにケンカもしてしまうのでしょう。互いの考察や思慮深さがすれ違っているだけの可能性もあります。ケンカをしたときこそ、好意を思い返してくださいね。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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