■健康な部分を伸ばして衰えた部分をカバーする
そしてもうひとつ、多くの方に伝えたいと私が強く考えているのは、アルツハイマー病をはじめ認知症と診断されても、「人生は終わりじゃない」ということです。
医学はめざましく進歩しています。ところが、脳については「まだわからないことが多い」と医学者ならみんなわかっています。神経細胞一個一個の働きや脳内の地図は明らかになり、基礎的な機能は解明されているものの、脳全体で見れば解明されているのはほんの一部にしか過ぎません。
ましてや個人の脳の領域となると、ほぼ解明されていない。一人一人の性格や個性がどのようにつくられ、社会的な反応にどう違いが生じ、発達や環境要因、生活歴、ストレスがそこにどんな影響を与えているのか。
アルツハイマー病は、脳の神経細胞の内外にアミロイドβというタンパク質がたまって神経細胞が死滅し、記憶をつかさどる海馬の辺りを含め広く萎縮していく病気です。
認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う