役に立つオモシロ医学論文

台風の接近で死亡リスクがアップする 米国医学誌で解析報告

台風の影響で計画運休が実施され閑散とするJR新宿駅(C)日刊ゲンダイ

 熱帯から亜熱帯の海洋上で発生する低気圧を熱帯低気圧と呼びます。発生場所や低気圧の強さに応じて「台風」「ハリケーン」「サイクロン」など、異なる名称で呼ばれますが、本質的には同じ気象現象です。

 低気圧は気象災害だけでなく、頭痛や倦怠感、めまいなど、人の健康状態にもさまざまな影響を与えることが知られています。熱帯低気圧と死亡リスクの関連性を検討した研究論文が、米国医師会誌に2022年3月8日付で掲載されました。この研究は、米国衛生統計センターのデータベースを解析したものです。1988~2018年における米国の死亡者3360万人分のデータと、米国1206郡(郡は州の下位の行政区画)における熱帯低気圧の接近状況が調査され、死亡リスクとの関連性が検討されました。なお、この研究における熱帯低気圧とは、風速で34トット6以上と定義されており、気象庁が定義する「台風」と同等のものです。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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