「頑張れと言われてもな……そりゃあ頑張るけど……。例えば、米の凶作でどん底に落とされた時でも、頑張って努力して乗り越えてきた。先人の成功例はいろいろな本でも読んだ。でも、健康を損ねると、自分の頑張りや努力ではどうにもならないこともある。どう頑張ればいいのだろう?」
Rさんはそう思いました。
また、「それにしても、担当医から『きっと再発することはないだろう』と言われながら、自分は再発し、同じステージのFさんは再発がない。どこに何の違いがあるのだろうか?」と疑問に思いました。
次の外来診察の際、Rさんは思い切って担当医にこの疑問をぶつけてみました。すると、こんな答えが返ってきました。
「その違いが、私たちにも分からないのです。この病院では、ステージ2では75%の方は再発していません。病理の検査結果でも、がん細胞の増殖に関係するタンパク質の『ハーツー(HER2)』は陰性でしたし……。それよりも、まずは治療を一緒に頑張りましょう。リンパ節転移が完全に消えた方もいらっしゃいます」
Rさんはうなずいて、しっかり治療を受けるしかないと思いました。
がんと向き合い生きていく