がんとの共生に「抗がん剤」は必ずしも必要ない 在宅医療の名医が語る「薬」と「延命」

写真はイメージ(C)PIXTA

 日本人の2人に1人が一生に一度がんになり、最近では年間100万人以上が新たにがんを発症するといわれている。そのため巷にはがんに関するさまざまな情報があふれているが、過去の誤ったがん常識ががんでも長生きするチャンスを奪う場合も少なくない。「しろひげ在宅診療所」の山中光茂院長に話を聞いた。

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「診療所の約半数の患者さんは、『がん末期』の状態です。それでもがんと共生して長生きしたいと抗がん剤治療を続ける方も少なくありません」

 伊東信子さん(64歳、仮名)がしろひげ在宅診療所に転院してきたときには、子宮体がんが全身に転移し腹膜播種と呼ばれるお腹の中にもがん細胞が散らばっている状態。余命数カ月と宣告されていた。しかし、伊東さんは「初孫が半年後に生まれる予定。そのためにも頑張って抗がん剤を続けたい」と熱望していたという。

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