「血液型」でがんのリスクが予想できる時代が近づいている

欧米の国々ではA型とO型で人口の9割近くを占めている(ニューヨークにあるセントラルパークで寛ぐ人々)/(C)ロイター

 さらに、いままでに発表された論文を総合的に評価するメタアナリシスやシステマティックレビューと呼ばれる解析方法が発展してきました。全がんリスク(すべてのがんに対する総合的なリスク)は、O型を1とすると非O型が1.2、とくにA型(AB型を含む)では1.3以上という数字が出ています。

 ただし患者が多い大腸がんや乳がんの評価がまだ固まっていないため、今後もう少し数字が上下する可能性はあります。ただA型が全がんリスクが高いというのは、世界的にコンセンサスが得られており、今後も変わることはないでしょう。

 血液型とがんの研究の中心は、アメリカとヨーロッパです。それらの国々では、血液型の偏りが大きく、O型とA型で人口の9割近くを占め、B型とAB型はかなり少数派になっています。そのためB型とAB型の全がんリスクの計算は、統計的なゆらぎが大きく、評価がまだ定まっていない状況にあります。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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