Dr.中川 がんサバイバーの知恵

杉田あきひろさんは躊躇も…喉頭がんは治療の代償が病期で大きく変わる

「奇跡を起こします!!」/(C)日刊ゲンダイ

 のどの痛みの強さによっては食事ができなくなることもあり、一時的な胃ろうで栄養をまかなうことも珍しくありません。がんは違いますが、喉頭と近い部位の食道がんで化学放射線治療を受けている女優の秋野暢子さんも一時的な胃ろうを増設。痛みについては「喉に剣山が刺さっているよう」とつらさを表現しています。

 この粘膜炎は、治療開始から3週間ほどで生じ、治療が終わると2~3週間でよくなることがほとんど。厄介な症状も一時的です。

 一方、抗がん剤が不要な早期は放射線のみで副作用はもっと軽い。手術も早期なら、声帯を一部残す部分切除で、声の質は変わりますが、声を残すことができます。しかし、転移があると全摘で、声を失うことに。喉頭がんは、病期によって治療の副作用だけでなく、手術の代償が大きく変わります。それだけに早期発見がとても重要で、胃カメラのときに咽頭と喉頭のチェックをお願いすることをお勧めします。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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