名医が答える病気と体の悩み

もし自分が認知症になったら…どこまで自覚できるのか?

加齢による物忘れがほとんど(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 認知症の方が自身の症状を自覚するケースは極めて珍しいと考えられています。自身で自覚症状を訴えて、私のクリニックをはじめ物忘れ外来を訪れる方の9割以上が別の病気の診断をされています。精神疾患のひとつである「不安障害」で記憶力の低下が起こっていたり、加齢による「物忘れ」であるケースがほとんどです。「物忘れ」というのは、記憶の所々に空白ができている状態なので、仮に「朝食を食べたっけ?」と思っても、周囲が「今朝は味噌汁と卵焼きを食べていませんか?」とヒントを与えると思い出すことができます。しかし、「認知症」は記憶の一部分が丸ごとなくなるので、食べた事実を認知できません。つまり、自分で物忘れ外来を訪れる方は、自身が忘れっぽくなったと認知ができているので、認知症ではない可能性が高いです。

 残り1割は、「置いたはずのものが見当たらない」「会社で注意されることが増えた」「少し前にできた調理の手順が思い出せない」などと日常に異変があって、それを家族や周囲に指摘される回数が増えて、病院にかかったケースです。

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