この冬こそ、コロナとインフルエンザのW流行リスク…受験家族はどうするべきか

マスクは屋内・屋外を問わず着用した方がいい(マスクをして受験会場に向かう高校生)/(C)共同通信社
マスクは屋内・屋外を問わず着用した方がいい(マスクをして受験会場に向かう高校生)/(C)共同通信社

 この冬、懸念されているのが新型コロナと季節性インフルエンザのダブル流行だ。行動制限の緩和と海外からの観光客増加でそのリスクが高まっているからで、政府も1日最大75万人の感染者が出る可能性を示している。

 そんな中、とくに気になるのは来年受験を迎える受験生とその家族の感染対策だ。公衆衛生に詳しい岩室紳也医師に話を聞いた。

「受験生のインフルエンザ、新型コロナ対策は一般の人と分けて考える必要があります。ご存じのように政府は新型コロナとの共生を前提に考えているようで、感染して多少の発熱や体調不良があり数日休んでも、回復して免疫を獲得できればいいと考えているように思います。私も、一般の人はその考えでいいと思います。しかし、受験生はそうはいきません。受験生にとって、受験が集中する来年1~3月に感染による発熱などの症状が出てしまうと、そもそも受験できません。そうなればダメージが大きく、それは人生を左右することにもなりかねません。同居家族を含めて自身でできる積極的な対策は可能な限り検討すべきです」

 たとえばワクチンは、受験のない人は打たない選択もあるが、受験生と同居する家族はこれまでの経験でよほど強い副反応がない限り、「受験日の2カ月前に、受験日に免疫力が最高値になるように打っておきたい」と岩室医師は言う。

「ワクチンには感染予防効果だけではなく重症化予防効果があります。感染しても発熱などで受験会場に行けないといったことが起きないようにする上で、ワクチン接種は有効な手段と言えます。10代を含め、多くの人は新型コロナワクチン接種を経験済みですので、そのときの副反応がよっぽどひどかった人は別として、接種することの効果の方を期待して打っていいのではないでしょうか」

 南半球では経験したことがないインフルエンザウイルスが流行した。そのため、日本を含む北半球では、用意したインフルエンザワクチンの効果が十分でない可能性がある。

 それでも、インフルエンザワクチンも打つことを岩室医師は勧める。

「予想したインフルエンザウイルスが流行する可能性もありますが、接種に問題がない、と考えられる受験生や同居家族はインフルエンザワクチンも打っておいた方がいいでしょう」

■マスクは屋外でも着用したい

 マスクは、万が一誰かの飛沫を浴びることを想定して、自宅を除いて公共交通機関はもちろん、受験会場、教室など室内でも着けておいた方がいいと岩室医師は言う。

「ウクライナ戦争の影響による世界的な原油価格高騰で電気代が上がっています。そのため、新型コロナ対策のために寒い中、エアロゾル感染対策として暖房を強くしながら窓やドアを開けて空気の流れをつくることは難しくなるでしょう。もちろん、受験生がエアロゾル吸入対策としてN95のような高性能のマスクを正しく着ければ防げますが、息苦しくなります。使い捨ての不織布マスクをできるだけ顔に密着させて着用する方が良いと思います」

 マスクは屋外での着用も考えておきたい。冬の屋外は空気が乾燥し、冷たい空気で気道が弱りやすい。マスクを着用すれば気道に潤いを与え、異物を吐き出すための気道上皮細胞の線毛の動きを活発にする。乾燥した部屋で就寝する場合は加湿器を置くのも良い。

 感染症対策は、それを行うことで得られるメリットとデメリットを計算して、メリットが上回る場合に行うのが基本。一般の人と立場が異なる受験生はより冷静に考え、実行することが大切だ。

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