時間栄養学と旬の食材

【サワラ】DHAやEPAが豊富で朝食べると体内時計を朝型にしてくれる

サワラは血液をサラサラにする効果が
サワラは血液をサラサラにする効果が

 サワラは漢字で「鰆」と書きます。春を告げる今の時期、旬を迎える魚らしい名前です。体表に黒い斑点があるのが特徴で、腹の幅が狭いことから狭腹(サワラ)、狭腰(サゴシ)との呼称がついたという説もあります。北海道南部辺りから本州、四国、九州まで日本海や瀬戸内海沿岸をはじめとして幅広く取れる魚で、漁獲量のトップは福井県、京都府、石川県、長崎県などが占めています。春が旬のものが多いですが、関東では寒鰆といって1~3月が旬のものもあります。

 関東では体長50センチを境に小さいものをサゴチ、大きいものをサワラと呼び、関西では体長50センチくらいのサゴシ、その後ヤナギに出世し、70センチ以上になるとサワラと呼び、大きなものでは1メートルくらいになるものもあるそうです。

 クセがなく、さまざまな食材との相性の良いサワラ。古くから懐石料理などをはじめとした冠婚葬祭時や地域によってはおせちにも用いられています。

 さて、そんなサワラはサバの仲間で、イワシやサンマを食べる肉食魚です。そのため、DHAは100グラム当たり1100ミリグラム、EPAは同340ミリグラムと豊富に含んでいるのです。

 DHA、EPAは体に必要不可欠なn3系必須脂肪酸のひとつ。厚労省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」には、DHA・EPAなどn3系脂肪酸全体での目安量が定められています。成人以上で一番摂取目安量が多い50~64歳の場合、男性であれば2.2グラム、女性1.9グラムとあるので、サワラ1切れ(70~80グラム)でかなりの量が摂取できることがわかります。血液をサラサラにする効果や肥満などの生活習慣病の予防にも欠かせない成分です。

 また、良質なタンパク質も100グラム当たり20.1グラムも含まれています。

 DHA、EPAやタンパク質はご飯やパンなどの炭水化物とともに朝食に取り入れることで、体内時計を朝型にしてくれます。朝型の方は夜型の方と比較して肥満や生活習慣病の割合が低いことも報告されています。午前中からしっかり動ける体をつくるためにも欠かせない食材のひとつといえるでしょう。

 さらには、体内のナトリウムを外に出してくれ、高血圧の予防に役立つカリウムも他の魚に比べてかなり多く含まれますし、骨や歯の形成、免疫機能の正常化に役立つビタミンDも1切れで成人が1日に必要な量の8割程度を摂取することができます。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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