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【カツオ】豊富なDHAとEPAが血管を強くしなやかにする

カツオは貧血予防にも
カツオは貧血予防にも

 世界に広く分布しているカツオは、3月ごろに九州南部から始まり、5月ごろに本州南部、8月から9月ごろには三陸沖近辺まで北上していきます。この頃に取れるカツオを「初鰹」と呼び、三陸沖で黒潮と親潮がぶつかりUターンをして、11月ごろまで九州南部に向かって南下してくるカツオを「戻り鰹」と呼んでいるそう。古くからカツオ節として利用されるほか、缶詰に加工されたり、お刺し身やたたきで食べることが多いですね。

 そんなカツオに含まれる栄養素のうち、特徴的なのはタンパク質とDHA、EPAの豊富さ。タンパク質はアジやイワシと比較すると1.5倍の含有量! 動物性タンパク質は、正常な赤血球の形成を助けるビタミンB12や鉄の吸収を高めることもわかっていますので、貧血予防にも役立ちます。

 DHA、EPAは脂質を構成する脂肪酸のひとつで不飽和脂肪酸と呼ばれ、取るべき脂肪酸とされるものです。初鰹より戻り鰹の方が多くなっています。エネルギーも高いですが、DHA、EPAの割合ももちろん高くなっています。北上から南下に転じる宮城県で取れる初鰹は、北上してくる間に餌をたくさん食べているため脂が乗っています。一方、西日本で取れるものは北上途中なので脂が少なく、身の締まりが良くて淡泊な味わいになっています。取る地域によっても成分が異なっているのです。

 タンパク質もDHA、EPAも、どちらも朝食に取り入れることで朝から活動できる体づくりに効果的なことがわかっています。魚の消費量が多い人(EPAを1日2.5グラム摂取)と、魚の消費量の少ない人(EPAを1日0.9グラム摂取)を比較した実験では、魚の消費量が多い人の方が血液をサラサラにしやすい体質であったことが報告されています。魚を含む朝食をメインに食べている子供たちの方が朝食の栄養素バランスがよく、朝型傾向であるとの報告もあるので、ぜひ朝ごはんに取り入れてみるのもいいですね。

 そのほかにも、カツオ由来のタンパク質に抗酸化作用があることもわかっていますし、肝機能を向上させるタウリンと呼ばれるアミノ酸も含まれます。タウリンの摂取が多い人ほど、血中コレステロールや肥満度を示すBMIの値が低かったという報告もあります。ダイエット中の方にもおすすめです。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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