感染症別 正しいクスリの使い方

【クロイツフェルト・ヤコブ病】有効な治療薬はなく半年以内で寝たきり状態に

毎年100~200人の発病が確認されている

 一方の医原性CJDは、異常プリオンに汚染された医療器具の使用、CJD患者由来の脳硬膜や角膜などの組織の移植、患者由来の下垂体ホルモンの投与など、医療行為を原因とするものです。

 CJDは、行動異常、性格変化、認知症、視覚異常、歩行障害などで発症し、数カ月以内に認知症が急速に進行します。発病から半年以内に自発運動はほとんどなくなり、寝たきりの状態となります。CJDは難病に指定されていて、有効な治療薬もなく、進行を抑えることができません。そのため、症状を軽減するための対症療法などが治療の中心となります。

 プリオンタンパクの分子病態を標的にした治療法の開発なども進められていると聞きます。少しでも早く治療法が確立されてほしいものです。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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