医療だけでは幸せになれない

マスクの効果を検討した「メタ分析」…1つの論文で多くの論文情報が手に入る

猛暑の中、日傘を差す人(C)共同通信社

 マスクの着用を勧めることによる感染予防効果をデンマークとバングラデシュで行われた2つの研究を通して検討してきた。こうして一つ一つの論文を検討するには、探すのも大変だし、さらにそれを読むのにも手間がかかる。また見逃している論文があるかもしれない。

 そこで、その手間を大幅に軽くしてくれる情報として「メタ分析」「メタアナリシス」の論文がある。マスクの効果を検討した論文を集めて、1つの論文として読めば済むようにしてくれているものである。個々の論文で分析された結果を集めて分析する、分析の分析、メタ分析というわけである。

 今回はマスクの感染予防効果を検討した論文を集めて分析した、メタ分析の論文を紹介しよう。

 この論文では、マスクの予防効果を検討した1つのランダム化比較試験、1つの非ランダム化介入研究、4つの観察研究を統合している。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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