老親・家族 在宅での看取り方

在宅医療では「心」の環境調整が大事…可能であれば離れて暮らす家族も交えて

患者さん、ご家族とがお互い率直に話し合って療養環境をつくる

 ご自宅で在宅医療を始めようとした場合、事前に行うさまざまな必要な準備がありますが、私たちはそれを「環境調整」と呼んでいます。

 患者さんの状態に合わせた介護ベッドや手すりの設置、車椅子など自宅で療養するための器具や道具の準備です。通常ですとだいたい2週間ぐらいかけなければ療養環境を整えることはできないものですが、患者さんに残された時間が少なかったりする場合は、自宅へ帰ることを優先し、急いで環境を整えます。

 これまで療養を開始されるお家では、寝室が2階という場合も少なくなかったり、狭いなどの理由から介護ベッドが入らないということはよくある話で、結局リビングに介護ベッドを入れるということは少なくありませんでした。

 ですが実は、リビングは家族が集う場所のために、自然と患者さんの周りに家族が集まって、患者さんも一緒にテレビを見たり、食事の時間を共にしたり、ワイワイと過ごすこともできますから、最初は抵抗感があったけど、リビングにベッドを入れてもらって結果的によかったとおっしゃるご家族も多いです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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