患者に聞け

高血圧症の克服(1)降圧剤を飲んでも治らなかった血圧が正常に

20年ほど前、「高血圧症」と診断されて以来…
20年ほど前、「高血圧症」と診断されて以来…

 初夏の日差しを感じ始めた今年5月、イベント企画会社を経営する早川栄治さん(仮名.69歳=埼玉県在住)は、思いがけない経験をする。

 20年ほど前に「高血圧症」と診断された早川さんは、以来、降圧剤「アムロジピンOD錠」5ミリグラム(その後10~15ミリグラム)を毎朝服用してきた。2カ月に1回、定期的に診察を受けている担当医から、「血圧管理手帳」の提出も義務付けられている。

 とくにこの3年間、血圧の推移を毎日記録したその小型の手帳には、家庭内の最高血圧(収縮期血圧、正常血圧は115㎜Hg未満)が140~150台、最低血圧(拡張期血圧、同75未満)が90~100と高血圧が常態化した測定値が並ぶ。

「5月22日の朝でした。いつものように血圧を測定したところ、突然、数値が下がったのです。上が121、下が82の数値で、脈拍は79でした」

 測定法を間違ったのか、使い慣れた「上腕式血圧計」の故障なのか、あるいは単3形アルカリ乾電池4個が電池切れなのか。早川さんは、もう一度測ってみた。

 左手内側のくぼみから1~2センチ上に装着した腕帯を、心臓と同じ高さにして手のひらを上向きに。さらに呼吸を整えて再度測定したが数値は変わらない。しかも、翌23日、24日、25日の測定も、血圧が正常値を示したという。

「この日から8月上旬までの3カ月近く、正常な血圧値をキープしたままなのです。本当に驚きました」

 働き盛りだった20年前、自宅近所のクリニックで市の定期健診を受診し、「血圧が少し高い」と診断され、生まれて初めて降圧剤を飲み始めた。ただし、高血圧症と診断されても、気になるような自覚症状がない。それでも高血圧症は、生活習慣病の元凶といわれ、脳梗塞など多くの重い病気を誘発する血液、血管、血流の病気であることは自覚していた。

 以来20年間、降圧剤が毎日の常備薬になった早川さんは、財布にいつも10錠ほど忍ばせていた。 (つづく)

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