上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

突然死の重大なサイン…危険な「痛み」を見逃してはいけない

胸痛を軽く見ないこと(C)PIXTA

 たとえば、4位の脳血管疾患では、心房細動によって心臓内につくられた血栓が脳の血管に移動して詰まる脳梗塞が全体の4分の1ほど見られます。5位の肺炎でも、背景に心臓病があった人が少なくありません。

 また、4万7635人が亡くなった新型コロナなどの呼吸器疾患を合併する感染症でも、心臓に基礎疾患があって心機能が悪い人は死亡リスクが高くなります。

 それぞれの死因の中から、こうした心臓病が背景にある人を加えると、心疾患の死亡は、悪性新生物(がん)と同じくらいになると予想されます。そして、裏側に心臓病があって亡くなるのは、圧倒的に高齢者が多いのです。

 ですから、心臓にトラブルがある場合、高齢者ほど治せるならしっかり治しておくことが、健康寿命を延ばすことにつながります。ほかの病気にかかったときの死亡リスクを下げることができるからです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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