がんと向き合い生きていく

被災地でがん治療を受けている患者に必要な対策はいくつもある

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 能登半島地震の災害で、亡くなられた方、負傷された方、たくさんの被災された方に心からお見舞い申し上げます。

「地震に備える」とは、まず身の安全、火災予防、避難場所の確認等々が考えられますが、東日本大震災、熊本地震の時の教訓が生きるようにしていただきたいと思います。

 道路や交通機関の破綻で、病院まで行けない、薬物や医療機器の供給中断など、それぞれの患者さんの状況もさまざまで、大変なことと思います。また医療機関も、被災された方々の診療や治療で不眠不休ではないでしょうか。

 自然災害が発生した際、中にはがん治療中の患者さんもおられるでしょう。がん治療やがん薬物療法に対する影響も並のことではないと思います。せんえつながら、自然災害ががん治療に及ぼす可能性のある影響や対策について考えてみました。

 災害が起こった際、政府は「医師が処方した薬の提供は、診察ができなくても、安定した慢性疾患の場合は医師と薬剤師の連絡で提供できるようにした」と聞きました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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