医者も知らない医学の新常識

風邪を早く治すには「薬」よりも貝に豊富な「亜鉛」がいい?

写真はイメージ

 風邪症状はとても一般的な体調不良ですが、その原因は特定できないことがほとんどです。総合感冒薬と言われるものが販売され、医療機関でも処方されることがありますが、鼻水や熱、痛みなどの症状を一時的に緩和する効果しかなく、風邪自体を予防したり、早く治す効果は証明されていません。

 亜鉛は体に必要不可欠な微量元素で、食品では貝類などに多く含まれています。亜鉛には風邪の原因ウイルスの増殖を抑えるような効果が実験的に報告されていて、そのため海外では、亜鉛のサプリメントが風邪の予防や治療に使用されています。それでは、その実際の効果はどのくらいのものなのでしょうか?

 「コクランレビュー」という、医学論文を精査分析してまとめている世界的に有名な医学情報があり、今年、風邪に対する亜鉛の有効性についての解析結果が発表されています。それによると、これまでの比較的精度の高い研究結果を精査したところ、亜鉛のサプリメントは風邪の予防には無効でしたが、風邪にかかった時に使用すると、その症状の期間を2日以上短縮する有効性が確認されました。

 活用されたデータの信頼性がそれほど高いものではない点には注意が必要ですが、風邪を早く治すには、亜鉛は風邪薬より有効な治療であると言えそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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