【健康特集】注目の乳酸菌「フェカリス菌」でインフルエンザ対策

 北風が吹く季節になると猛威を振るい始めるのがインフルエンザ。国内で毎年約1000万人以上が感染しているといわれており、予防方法としては、ワクチンの接種や外出後のうがい・手洗いなどがあるが、最近注目されているのが乳酸菌。中でも「フェカリス菌」と呼ばれる乳酸菌がインフルエンザ対策に大きな期待を集めている。その秘密を探ってみた。

加熱殺菌した方が生菌よりも効果が約3倍高まるフェカリス菌
 ひと口に「乳酸菌」と言ってもその種類は数多く、200種類以上もあるといわれている。その乳酸菌の中で「フェカリス菌」は、とりわけユニークな存在。そのサイズは500〜1000nm(1nm=100万分の1mm)と非常に小さくて、「ビフィズス菌」と比べると約5分の1のサイズしかない。この特殊な形状の乳酸菌であることが、インフルエンザウイルス対策の重要なキーワードになっているのだ。
「摂取する乳酸菌は生菌でも死菌でも、菌数が多いほど高い効果が期待できます。この点を考慮すれば、フェカリス菌の形状は、大量摂取に非常に適していると言えるのです。しかも、他の一般的な乳酸菌は棒状の形をしていますが、フェカリス菌はとても小さな球状をしています。含有密度が高いため、一度にたくさんの摂取が可能になるのです」とは、細菌分類学の権威である東京大学の光岡知足(みつおかともたり)名誉教授。
 さらに製薬会社の最近の研究では、「加熱殺菌した方が、効果が生菌の約3倍に高まる」という結果が明らかになった。

毎日決まった時間に取り入れるなど続けるための工夫をすることが大切
 腸内免疫に詳しい「井の頭通りこう門科胃腸科」の大堀晃裕院長(医学博士)も、このフェカリス菌に注目していると言う。
「インフルエンザ対策としては、うがい・手洗い・マスクなどの予防が重要ですが、それに加えて、免疫力を高めることも大切。私自身も7年ほど前からフェカリス菌を摂取し続けています。風邪やインフルエンザにかかりにくくなったという実感がありますね。家族も一緒に摂取するようになったのですが、やはり、ウイルス性の病気に対する抵抗力が上がったみたいですよ」
 大堀院長は、クリニックの患者さんにもフェカリス菌を紹介していて、とくに手術後などで免疫力の維持・向上が必要な場合には、積極的にフェカリス菌に関する情報を提供しているという。
「とくに、インフルエンザが流行する冬は、気温が低いために体が冷えやすく、腸内の免疫細胞の働きも鈍くなりがち。腸内免疫細胞を活性化し、免疫系のバランスを整えてくれるフェカリス菌をこの時期に摂取することは、とても意味のあることだと思います」
 ただし、乳酸菌は時間が経つと体内から出ていってしまうので、フェカリス菌の摂取は毎日続けることが重要なポイントになるのだそうだ。
「摂取するタイミングは新陳代謝が活発になる夜に飲むことをおすすめします。さらに言えば、吸収をよくするために満腹時は避けて、寝る前などに摂取するといいですね。また、毎日決まった時間に取り入れるなど、毎日続けるための工夫をすることが大切です」


フェカリス菌がインフルエンザ対策になることを実証
 フェカリス菌がインフルエンザ対策になることを裏付ける科学的なデータもある。例えば、製薬会社と北海道大学・人獣共通感染症リサーチセンターの共同研究で、フェカリス菌(FK─23)のインフルエンザウイルス感染に対する働きを実験で調べた結果もその1つ。
 マウスを使ったこの研究実験で、フェカリス菌の可溶性成分を与えたグループと与えていないグループでは、インフルエンザに感染して2週間後の生存率に、明らかに大きな差が生じたのである。フェカリス菌を与えなかったグループの生存率が約40%だったのに対して、感染前と感染後の両方にフェカリス菌を投与したグループの生存率は100%。感染前だけ与えたグループでも約80%の生存率を示したのだ。
 この実験により、インフルエンザに感染する前からフェカリス菌を摂取すること、また感染しても摂取し続けることが効果的であることが明らかになった。つまり、継続的にフェカリス菌を摂取することが重要なのだ。
 フェカリス菌はビフィズス菌などと比べて約5分の1の球状の超微粒子乳酸菌。だから、わずか200mlの飲料におよそ1000億個も含有することができる。しかも、フェカリス菌は加熱殺菌された状態でも効果を発揮するので、常温で持ち運んでも大丈夫。そして、花粉症の症状緩和効果も明らかになっているので、今からできる対策として継続摂取を心がけてみてはいかがだろうか。